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大菩薩嶺・大黒茂谷

大菩薩嶺・大黒茂谷

10 September 2017, Mt.Daibosatsu "Ohkuromo Valley"
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大黒茂谷の上部 稜線が近い

計画倒れで、なかなか実現出来なかった渓流歩きがやっと完了した。
「大黒茂谷」は大菩薩嶺を源とする小さな谷で、丹波川(多摩川)の支流である泉水谷に流れ込んでいる。
同じ流域の「小室川谷」と共に、大菩薩を代表する沢であるが、ハイカーに人気が高い「大菩薩峠」の名声に隠れて影が薄い。
静かな原生林の中を流れる苔生した河原と、ナメやナメ滝、ミニゴルジュや登攀容易な蓮爆など、変化に富んだ楽しい沢である。




登山口は青梅街道(国道411号線)の三条新橋で、ここは泉水谷林道の始点である。
国道から分かれ、橋を渡って直ぐにゲートとなる。ゲート手前には、10数台止まれる駐車スーペースがあるが、この日は一杯であった。
渓流釣りやハイカー、籠を背負ったキノコ採り等、ゲート前は賑やかである。見た所、ヘルメットを携行した沢ヤは我々と二人連れの登山者だけで、少々安心した。
指導員らしき人がいて、「大黒茂谷に入渓した登山者が、滑落して運び出されたから気を付けるように!」と注意を促された。どうも、熊も出没するようである。
以前入渓した時、ゲートが解放されていて車は奥まで入れたのだが、今は閉鎖されている。
ここから、大黒茂谷の出合まで5キロ弱の林道を歩かなければならない。舗装された林道歩きは単調だが、泉水谷の流れや、紅葉したらさぞ美しいだろう渓谷に広がる森林と、道端に転がる木々の熟した実を見つめているうちに、気が付けば大黒茂谷の出合に通じる橋に辿り着いていた。

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大黒茂谷の中流部
苔生した河原が続く。
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大黒茂谷出合の巨岩帯

泉水谷にかかる橋を渡り、登山道を進む。
この道は大黒茂谷に並走する遊歩道(巡視路)で、丸川峠へ通じているが、そのまま進むと沢からはなれてしまうので、大黒茂谷の合流点辺りで河原に下る。
河原で身支度を整え、沢歩きを開始する。
目の前には巨岩帯が立ち塞がっていて、さあどうしたものかな?と考えさせられるが、迷路と思えば難なく乗り越えられる。

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右往左往しながら、大岩帯を乗り越してゆく

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ミニ・ゴルジュの入口
手前に深い瀞を抱える。右壁をヘツリながら進むが、軽く腰まで浸かる深さだ。
ゴルジュ内にも小瀧があり、面白いコースだが、水が冷たいので右岸から高巻いてしまった。

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ナメ滝が連続する沢
縞状の岩床で、美しい。

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ナメやナメ滝登りと、平凡な河原歩きを繰り返す。
北面の渓谷だが、明るい沢である。

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ナメ滝が続く
どこでも登れそうに見えるが、ヌメっていて滑りやすい。

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大黒茂谷に架かる丸木橋を二つほど通過すると、二俣となる。
左手は一段高い枯れた沢、右手は水の流れる本流らしき沢だ。
ガイドブックに書かれているが、水の流れる右沢には進まないこと!
枯れた左沢が、本流である。荒れた涸れ沢を進むことにためらうが、構わず詰めてゆく。
壊れかけた堰堤が現れると、やがて水が流れ出してくる。
前方に12mの大滝が現れると、ルートに間違いないことが確認でき安心した。
大滝は水流通しに登れそうだが、ヌメっていて滑りやすく、落ち口は岩が被っている。
右手の草付きを登るが、足場はやや柔らかいので注意したい。


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12m大滝にて
この大滝を越えると、直ぐに7m滝となる。
攀じ登ると一気に高度感は増すが、残念ながら下を見下ろせない。

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7m滝にて
ここもヌメっていて滑りやすい。水流の左手に沿って、攀じ登った。
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大滝を過ぎても、階段状の小瀧が連続する
ここを越えると谷は狭まり、水流はちょろちょろとなる。
稜線は間近に望めるが、このまま沢を詰めるとガレ場に突き当たるので、右手の急な小尾根に取り付いて上に向かう。藪漕ぎもなく、笹原の広がる疎林帯を抜けると、ひょっこり登山道に出くわした。

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丸川峠にて
ここは十字路となっている。
左手は、我々が来た大菩薩嶺・大菩薩峠への道。奥は裂石登山口へ、手前は柳沢峠と泉水谷の下山口に向かう道だ。

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丸川峠・丸川荘にて

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丸川峠にて
腰掛けるのに都合が良い、露岩が点在する。
ガスコンロを取り出し、ドリップコーヒーを焚いて、ゆっくり珈琲をすすりたい景色だが、未だ道中が長いのでそうもいかない。

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丸川峠から泉水谷に下る峠道

丸川峠を降りだして直ぐに、道は二手に分かれる。
右手は「泉水十文字」を経て、大黒茂谷出合に向かう山道。左手は、泉水谷林道に向かう道だ。
地図上の直線距離では「泉水十文字」路が短く、泉水谷林道はいかにも大回りなコースに感じられるが、早く林道に出た方が帰路は早い。
牛首谷の流れに沿う緩やかな登山道を行くと、ヒューンという鹿の警戒音が周囲に鳴り響き、鹿の群れが何回も我々の目の前を横切っていった。
登山者が少ないことと、自然が豊かなことの証かもしれない。幸いなことに熊の気配は感じられなかった。
ゲートまで2時間余りと道のりは長かったが、泉水谷上流部の美しいナメやナメ滝に見とれ、周囲の紅葉美を思い浮かべながら林道を下った。

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大黒茂谷ルートマップ

△ 登山記録 △

9月10日  天気=晴れ時々曇り
 泉水谷林道ゲート5:55 __ 大黒茂谷出合6:52 __ 
 大黒茂谷大岩帯7:00~7:20 __ 稜線登山道12:10 ____
 丸川峠12:37~12:50 __ 泉水谷林道ゲート15:00着!

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△ 後記 △

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沢登りに使用した「地下足袋とワラジ」

 私の足ごしらえは、地下足袋とワラジのオールドスタイル。他の二人は、渓流タビと渓流シューズの今風スタイルである。
本格的な滝の登攀でなければ、濡れた岩床でのワラジのフリクションは良い。
ただ、質が悪いためか、ご覧のようにワラジは擦り切れかかっていた。
渓流シューズも持っているのだが、長年使っていて使用に耐えられないくらい傷んでいる。
良質なワラジが手に入りにくくなっているので、次回からは安上がりな渓流タビに切り替えよう!

by furaibou1952 | 2017-09-12 12:33 | 登山