玄倉林道より蛭ヶ岳(丹沢)

4 January 2018 , "Mt.Hirugatake"
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 丹沢の最高峰「蛭ヶ岳1673m」は、眺望に優れた威風堂々とした山である。
だが何処から登るにしろ、奥深さが災いして訪れる登山者は少ない。
神奈川県足柄上郡山北町の玄倉林道が開放されていて、ユーシンまで自由にマイカーが乗り入れられた当時は、蛭ヶ岳〜丹沢山〜塔ノ岳〜鍋割山の環状尾根は、脚力のトレーニングと起伏に富んだコースの面白さもあって、良く遊びに来ていたものだが、ゲートの開設による林道の閉鎖やトンネルの老朽化による崩落もあって、立ち寄ることは無くなってしまった。

現地情報=蛭ヶ岳山荘






熊木沢出合の崩落した橋桁
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 今、ユーシンや玄倉川流域の登山道はどうなっているのだろうか?
探索を兼ねて、友人を誘って丹沢の主峰・蛭ヶ岳を目指すことにした。
国道246号線清水橋交差点を左折して丹沢湖に向かい、玄倉バス停を右に見過ごすと直ぐに玄倉林道ゲートが現れた。えっ!、本来のゲートはもっと奥なはずだけれど、ここからではユーシンまで3時間近くの歩行を強いられてしまう。新設されたゲートに困惑して立ち往生していると、良く見れば解除可能な鎖に過ぎないことが分かる。
監視カメラ作動中の警告を無視して先を進み、数十分走ると正規のゲートに辿り着いた。
ゲート手前にあった広い駐車場は土盛りされていて無くなっていたが、林道の脇に車を停めて歩き出すことにした。
 歩き出して50分ほど経つと、真新しい長いトンネルが現れる。持参したガイドマップに表示された青崩隧道だと思われるが、蛇行の連続した林道は、このトンネルによって大きく短縮されたようである。
途中で一息入れていると、目の前を〇〇薬科大学の看板を掲げた車が走り去っていった。ユーシンロッジに向かう許可車両のようで、この時点で車両の通行に何の支障もないことが理解できた。
雨山峠への登山口である雨山橋、そしてユーシンロッジ分岐まで意外な速さで辿り着いていた。ここから塔ノ岳・蛭ヶ岳への登山路分岐点である熊木沢出合は、30分弱で到着した。
塔ノ岳へ向かう林道を右に見送り、左手の河原に下る。玄倉川本流に掛かる橋桁は、片側が欠落していて通過不能。
水量が少ないので、簡単に渡渉できるのだが、アルミ梯子が設置してあるので、折角だから拝借して攀じ登って橋を渡った。
 渡ると直ぐに、棚沢ノ頭へ至る一般ルートの取付き点となる。入口に古い小さな標識が立っているが、字は消えているので、登山口看板とは気付かないかもしれない。以前は、熊木沢の左岸・右岸と渡り変えながら整備された林道が、蛭ヶ岳山麓直下まで延びていたのだが、今はズタズタに寸断されていて見る影もない。
最近のガイドマップには、熊木沢に延びる林道や蛭ヶ岳直登ルートは表示されていないので、登山道の存在を知る手掛かりもないだろう。
同じ道を往復して蛭ヶ岳を登頂するのは、面白みがないので、荒れた熊木沢を詰めることにした。
目指すは、蛭ヶ岳直登コース。行く手を阻む堰堤を幾つか高巻いて越えると、やがて右岸に土砂で埋まる林道が現れる。河原歩きに見切りをつけて、崩れた護岸を這い上がった。
この林道は、蛭ヶ岳山麓直下まで延びているので、あとは忠実に道を進むだけである。
やがて熊木沢西沢の出合で、林道は途切れる。見上げると、丹沢主稜の本ダルミに向かって、堰堤が延々と設置されていて、崩落の凄まじさを見せつけられた。
林道末端の小広場には、朽ちた放置車両が草に埋もれていた。往時は、ここに訪れる登山者も多かったのかもしれない。落石で埋まる西沢を渡り、対岸の尾根に取り付く。
 入口の登山道は消失していて確認できないのだが、周囲を良く見渡すと目印となる赤いテープが、上に向かって点々と続いていた。急峻で崩れやすい尾根を、赤いテープを目印にしたすら登るが、このルートはあまりにも荒れていると気付き、右手の緩い小尾根にルートを変える。歩きやすそうな所を右に左に変えながら登り続けていると、やがて明瞭な登山道が現れてきたので、ホッとした。記憶に残る、幾度も歩いた登山道は健在のようだ。

[熊木沢出合にて]  正面に蛭ヶ岳が望めるが、麓までは遥かに遠い。
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[熊木沢右岸の林道跡] この林道の末端が、蛭ヶ岳直登山ルートの取付き点である
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[蛭ヶ岳直登ルートの取付き付近]
赤布を辿りながら上に進むが、当たらずも遠からずで、歩きやすいところを選んだ方がベストな登り方。
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[大きく枝を広げたブナの大木]
登山者が絶えて、心なしか木々は生き生きしているように感じられた。
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[蛭ヶ岳山頂直下にて]
 
丹沢主稜は間近だ。
山頂直下は、崩落が進んで登山道は流出した様子。崩れやすい急峻な草付きを、ひたすら登る。
登り切ると、石畳の広い道に変わり驚いた。
変わらぬ展望と変わったかも知れない山の景観、10年以上経っての再訪なので、今はその違いも分からない。
整地された広い山頂には、登山者が数名それぞれに寛ぎ、周囲の展望を堪能している。日陰の草むらには、申し訳なさそうな雪の残骸。相変わらず訪問者が少ないので、山小屋はひっそりしていて、いったい商売になるのか少し心配になってしまう。
次は、雪稜に変わる季節に別ルートから・・
心地良い笹原の広がる稜線を、コツコツと木道に響く足音を楽しみなが、鬼ヶ岩〜棚沢ノ頭に向かい、のんびり下山を開始した。

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[蛭ヶ岳山頂直下にて]
眼下に直線的な熊木沢。鍋割山稜・檜岳山稜の背越しに、相模湾の海岸線が広がる。

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[蛭ヶ岳山頂にて]
富士山の右下に「檜洞丸1601m」、そして左手の三角錐の「同角ノ頭1491m」が印象的だ。
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[蛭ヶ岳山頂にて]
塔ノ岳と同様の整地された山頂。土砂流失防止に仕方がないかもしれないが、味気ない。
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[蛭ヶ岳稜線]
笹原の心地よい尾根が広がる。
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[蛭ヶ岳山頂にて]
北東に宮ヶ瀬湖を望む
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[鬼ヶ岩より蛭ヶ岳]
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[鬼ヶ岩稜線]
鎖場が続く岩場だが、それほど危ない箇所とも思えない。
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[鬼ヶ岩より蛭ヶ岳]
名の由来となった、岩頭が露出する。
ダイナミックな蛭ヶ岳と、富士の展望が素晴らしい!
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[棚沢ノ頭にて]
棚沢ノ頭〜弁当沢ノ頭〜熊木沢出合に向かう下山路
道は明瞭だが、弁当沢ノ頭付近は尾根が広くルートを見失い易い。
この登山道末端は、倒木等が多く荒れて道が不明瞭な箇所があるので、注意がいる。
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[登山マップ]
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 玄倉林道は、整備されていて歩き易くなった。
ユーシンを起点とすれば、雨山橋からの雨山峠〜鍋割山。
熊木沢出合からの塔ノ岳、棚沢ノ頭を経由しての蛭ヶ岳や丹沢山、臼ヶ岳南尾根や同角山稜と自由爛漫なコース選びが広がり、大きな収穫であった。
残念なことは、林道ゲートは玄倉バス停近くに設置され直したので、ユーシンまでの歩行時間が大幅に延びたことである。車の乗り入れに支障が無くなったと言っても、ユーシンロッジは閉鎖されたままで、営業再開の噂は聞かない。
また、東丹沢で猛威を振るうヒルの被害は、ここにも及んでいると聞くので、入山時期を選ばなければいけない。秋から早春までが、ベストな期間かも知れない。
ゲート入口には、遭難者探索のお願いが掲示されていた。谷は深く、山は険しい。安易な気持ちで入山すれば、手痛いしっぺ返しを食らう山域である。
 
 
■登山記録:2018年1月4日、天気快晴のち曇り
 玄倉林道ゲート6:50 ___ 雨山橋8:05 ___ ユーシン分岐8:15 ___
 熊木沢出合分岐8:45 ___ 熊木沢の河原9:10-9:20 ___
 蛭ヶ岳直登コース取付き点10:12-10:20 ___
 蛭ヶ岳12:14-12:45 ___ 棚沢ノ頭13:25 ___ 弁当沢ノ頭 ___
 熊木沢出合の河原14:42-14:50 ___ 玄倉林道ゲート16:35


[速報天気図(SPAS) 2018年1月4日12時]
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by furaibou1952 | 2018-01-06 11:51 | 登山